ゆっくり歩く私に歩調を合わせてくれる大谷くん。
優しいのかそれとも慣れているのか…


「優里佳ちゃん、アド教えて?」
黙っていた大谷くんが急にケータイを差し出してきた。


「え?私の?」


「当たり前だろ?」
他に誰がいるの?って笑う顔が幼くて少し
少しだけ胸が高鳴った。

「…いいよ」
これが高校に入って初めての男子とのアド交換。

私は今日大谷明人を少しだけ知った気がした。