鮮やかな朱色の桜が舞い散る季節。


初めての中学生活に、

私は凄い緊張してきた...。


回りの人は同じ小学高の人や幼なじみがいる。


...だけど...


私は先日此処に越して来たばかり、誰も知っている人はいない。


クラスに知らない人ばかりいると思うと、不安で胸がいっぱいになった。



話し声が響く廊下は、私にとってはただの騒音だった。



「....」


挨拶も交わせずにクラスへ入ってしまう私...


一気にクラスの視線が私に集まる...


凄く嫌な視線だった。


ヒソヒソと私の事を言っているのが聞こえた。



...バレバレ...


私は席につき、深いため息をついた。


私、これからこのクラスで一年過ごすのね...


寂しさと不安で押し潰されそうだった。


そんな時、


「ねぇ、君。」


明るい、爽やかな声が私の耳に入った。


「俺は那芽正元(ナガマサ・ハジメ)!君の名前は?」


元気な男の子が私に話しかけてきた。


...どうしよぅ...


私が戸惑っていると、彼が助け船を差し出した。


「大丈夫だよ!俺はあんな奴らとは違う!」


彼の言うあんな奴らとは、ヒソヒソ話している男の子達の事だ。


「ねぇ!名前、教えてくれない?苗字だけでも良いからさ!」


私は勇気を振り絞って名前を名乗った。


「わ、私はっ.....

私は..麻之舞海(アサノ・マカイ)..」


私の声は聞こえたのだろうか...


不安に思ってると、


「麻之さんか!舞海って呼んで良い?」


彼は笑顔で私に応えてくれた。


..なんて優しい人なんだ..



この日から、私の中学生活は扉を開けた。


新たなる、人生の扉が...