「ありがとう……いい思い出になった……」


「“いい思い出になった”って…。今日まで一緒に過ごしてきた時間を全部“思い出”に変えちゃうつもり……?」


「そうさ。じゃ、ここでさよならしよう」


「…!」


「さよなら……メイド服の似合うお嬢さま」


「………」

ホントにこれで“さよなら”なのっ?

王子はそれでいいのっ?

王子だって、あたしが好きなんでしょ?


「悪いけど、あたしはまだ“さよなら”を言うつもりはないよっ」


「お前がどう思おうがここでさよならだ」


「そんなっ…」


「翔子。おもてにクルマを待たせてある。私と一緒に帰るんだ」