「え…」

なに? そのへりくだった態度……。


「おぉ、巴さんところの“せがれ”か」

「はい。お嬢さまを社長のご令嬢だと知りながら、アルバイトとして雇ったのは、このわたしです」

「そうか、キミが」

「はい。ですから責任は全てわたしにあります。どうか、ここはこのわたしに免じて、今回のお嬢さまの行動を全て不問にすることはできませんでしょうか?」

「これはあくまでわが加藤家の問題だ。キミにクチをはさむ権利などない」

「ですがっ…」

「同じことを二度も言わせる気かね?」

「っ…!」

何かを言い返そうとしてやめる王子。

「とにかく娘は連れて帰る。これ以上、こんなところには置いておけない」

「痛いよ、パパ、離してっ」

パパがお店の出口のほうに向かって、ぐいぐいとあたしの手を引っ張って強制連行させようとしている。


「では、せめて今日までのバイト代をっ…」