「そうよ、あたしの意思よ。だってあたし一度でいいから、こーいうフリフリのメイド服って着てみたかったし」
「嫁入り前の娘がする格好か」
「“嫁入り前”って……」
「とにかく大事な一人娘にそんな格好をさせて、世間のさらし者にすることなど、断じてこの私が許さん。帰るぞ、翔子」
言い終わるなり、あたしの腕を“ぐっ”とつかんで怪力で引っ張るパパ。
「痛いっ。痛いよ、パパっ」
「失礼します!」
そこに王子が慌てて駆けつけてくれた。
「…!」
いいぞ、王子!
パパの手からあたしを救い出してよ!
「社長、ご無沙汰しております」
パパに向かって深々と頭を下げる王子。