だけど現実は、あまりにもシビアすぎた。
現実はあたしに残された最後の残り時間さえも、あたしの手の中から強引に奪い取ってしまったんだ……。
「翔子っ!!」
生チョコの箱のラッピングをしていたあたしの耳に、どこかで聞いたことのある、しゃがれた中年男の声が飛び込んできた。
「…!」
ビックリして声のしたほうを見ると、そこに鬼みたいに顔を真っ赤にして怒っている中年男――つまり、あたしのパパがいた。
「パパ!?」
「取引先の人に、お前に似た女の子がコノ店で働いてるらしい、って話を聞かされて、まさかと思いながらも来てみたんだが…」
「………」
「まさか本当にこんなところで働いてるなんてな。遊ぶカネに不自由はさせてないつもりだが」
「あたし、別におカネが欲しくてバイトしたワケじゃないよ」