「…!」

王子の言い方が突き放すような感じに聞こえて、なんだかあたしは悲しくなった。

「とにかく、今月いっぱいのバイトだってことは最初から決まってたんだ」

「………」

「だったら、せめてタイムリミットの最後の一瞬まで、悔いが残らねぇようにがんばれば、それでいいんじゃねぇの?」

「………」

いったいどんな“大人の事情”があるのかなんて、あたしには全然想像もできない。

だけど、大人の事情ってヤツを受け入れて納得している王子は、少なくともあたしより確実に大人だってことくらいは分かる。


そして大人な王子が言ってることが正しいことだってことも頭の中では分かってる。


だったら……、


だったら、あたしも大人になって、これ以上わがままを言って王子を困らせるべきじゃない、って……、

そーいうふうに思ったあたしは、王子のいうとおり、バイトは今日と明日の2日間だけだけど、それでも最後まで一生懸命がんばることを王子に誓って約束をした―――――