「ねぇ、バイトの期間の延長とかってできないの?」

あたしがすがるようなまなざしでお願いするんだけど…、

「………」

王子は黙って首を左右に振った。

「一ヶ月だけの短期のバイトだってことは、お前だって承知してたことだろ?」

「そうだけど…そうだけど、でもっ……」

「…?」

「ココでバイトできなくなるのは淋しいよ……すごく…すごく淋しい……」

「………」

「ねぇ、王子はこのお店の二代目店長なんでしょ? だったら店長の権限でなんとかならないのかな?」

「だから大人の事情がある、って言ったろ」

「分かんないよ、大人の事情なんてっ」

「………」

「あたし、まだ子どもだから、大人の事情なんて分かんないよぉ」

「そーいう聞き分けのないところが子どもだって言うんだよ」