「そ、それがどうしたの?」
「という事は、ユウちゃんから教えて貰えば良いんですよ!」

良い考えだと喜ぶユリン…そして、クラスメイト
さっきのユリンの大きな声は、今教室に残っている皆に聞こえていたようだ
何だか、教えないといけない雰囲気に包まれているような気がするユウ
きっと、気のせいではないだろう

「僕で良いならやるよ…でも、あくまで僕のやり方だからね?」
「はいです!ライナちゃん!起きてください!ユウちゃんが教えてくれますですよ!」

ユリンはライナを起こしにかかる
ユウは席を立ち黒板の側に行く
転入初日にココからクラスを見たが、その時とほとんど変わらない景色が見える

「それじゃ、僕のノートのとり方講座をはじめまーす」

パチパチパチと拍手を貰い、ユウは少し照れくさくなって、頬をかく

「まず、ノートは教科…例えば今日の魔力の授業で使ったノートは、魔力専用のノートにします
何故なら、他の教科も一緒に一つのノートに書いてしまうと、ゴチャゴチャして見にくいからです」

皆真剣に聞いているので、少し緊張するユウ
その後、重要なところは色を変えるや、教科書にも線を引く…などなど、ユウの知る限り説明をした

「以上で、僕のノートのとり方講座を終わります」

ユウは軽くお辞儀をして、自分の席へ向かう
皆、ユウの説明を聞いて自分のノートを書き直したりしている
ユウの席ではユリンが一生懸命、ユウに言われたことを実践している

「どうだった?ユリンちゃん」
「分かりやすかったですよ!…ライナちゃんは撃沈ですが…」

ユリンの視線を追い、ライナを見ると突っ伏したままだった
そんなに難しい説明をした覚えは無いが…
ユウの思考が分かったのか、ユリンは慌てる

「ユウちゃんの説明が難しいわけじゃないです!
起こそうとしたですが…起きなかったです」
「あぁ…なるほど」

ユウはポンと手を打って納得した
さっきの説明が難しくて撃沈してたら、どうライナに説明しようと思っていた
あれ以上に分かりやすい説明…正直、ユウには思い浮かばない

「ちょっと!」
「「「…」」」

ユウの背後から声がかかる
聞き覚えのある声に、聞こえない事にしようと決めたユウは気づかない振りをした
実際名前を呼ばれたわけじゃない…こちらに向けた言葉と取らなければ良いだけだ
ライナは撃沈中…ユリンは声の主を知って、気にしないことにした