「あ、忘れてたわ…千里眼」

ルイがそう言うと、急に白い壁が薄くなり遠いところまで見えるようになる
遠い空に雲の切れ間が見えた

「あ、見えた…雲の切れ間」
「でしょう?さ、そろそろ戻るわよ」

ルイがそう言うと、空気の泡がゆっくり水に沈んでいく

「わ、水!!?」
「入ってこないわよ~」
「あ、そうだった…」

ユウは、まだ慣れないため1つ1つに驚いてしまう

「はぁ…疲れた…」

朝から色々なことがあり、どっと疲れを感じるユウ
そんなユウを乗せ空気の泡は沈み、家を目指す

「おかえり」
「「ただいま~」」

家に帰ると、ディールが朝ごはんを作っていた

「さぁ、もう食べれるよ」
「わぁ!父さんの料理なんて初めてだ!」

ユウは大喜びで椅子に座った
ルイもそれに続き、3人でおいしい朝食を楽しんだのだった
朝食を食べ終わったユウは、自室にいた

「あ、そういえば」

ユウは手を前に伸ばし、スッと紙を出す

「ライナとユリンちゃんの電話番号もらってたんだった」

綺麗に折りたたまれている紙を広げていく

「…ん?」

ユウは紙を見て首を傾げる

「なに…このraina/ru-gaって…メアドっぽいけど…」

もう一つの紙にはyurinn/fo-ruと書いてあった
勝手に電話番号だと思っていたが、早とちりだったようだ
ユウは、どのように連絡するのか分からず、リビングへ行く

「ねぇ、これって、どうしたら良いの?」

ルイとディールに紙切れを見せて、尋ねるユウ
2人は紙切れを覗き込み、嬉しそうに笑う

「あら、番号もらうほど仲の良い友達が出来たのね~
お母さん、嬉しいわぁ~」
「ユウ、早速通信してみたらどうだ?」
「いや、その電話の仕方が分からないんだけど…
てか、コレってメアドっぽいんだけど…」

ユウの一言に、2人はポンと手をたたく
そんな2人の反応を見て、この2人は向こうの世界での生活を覚えているのか…と、少し不安に思うのだった

「そうだったな」
「ここじゃ、電話じゃなくて通信って言うのよ~
まず、杖を出してごらんなさい」
(電話も通信も意味は一緒だと思うんだけど…)

内心そう思いつつ、ユウは言われるがままに、杖をだす
すると、ルイが何も書いていない白紙の紙を2枚出しユウに渡す

「それに番号を書きながら、相手をイメージしなさい」
「…杖で書くの?」
「そうよ」

ユウは首を傾げるが、言われた通りイメージしながら、番号を書いてみる
鉛筆では無いので、書いている…というか、紙に杖を滑らせているだけだが…