「はぁ…まぁ、美紀達の事クヨクヨ考えてても仕方ないよね…
美紀達は元気なんだから、何も心配しなくて良いんだ
僕があのまま向こうにいた方が危険なんだから…
美紀達が生きるためには、これしかなかった…そう思えばね…」

ベッドから勢い良く起き上がる
寝たので、さっきまで落ち込んでいた思考回路は、何処かにしまってしまったようだ
何処か吹っ切れたような顔をしている

(会えないけれど、生きてるなら良いよね)

諦めがついたのか、晴れ晴れ…とまではいかないが、少し心が晴れた
ユウは、そろそろ夕飯の時間だろうかと思い、リビングへ向かう

「ねぇ、夕飯って何時くらいなの??」

リビングに入って、ユウの第一声だった
2人は、落ち着きを取り戻したように見えるユウにホッとした

「そうね~、そろそろ準備して、17時くらいに食べようかしら~」
「ん~、まだ時間あるなぁ~…何してよう…」

向こうの世界であれば、ゲームをしたり漫画を読んだり…したい事は山ほどあるのだが、ココの事は分からない事が多く、何をして良いか分からない
携帯ゲームなら出来るだろうか…とか、自分の荷物の状況を確認しなくちゃ…と思うが、今はする気になれない

「それじゃ、ちょっと早いけど、お風呂入ってきたら??」
「あ~…うん、そうするよ」
「お風呂場は、奥だから…まぁ、そんな広くないから、すぐ見つけられるわよ」
「分かった~」

ユウは、着替えを取りに自室へ
着替えを持って1階へ降りると、ルイにばったり会った

「あ、ユウ!ちょうど良いところに」
「ん?なに??」
「エア」
「?」
「はい、これで大丈夫よ~♪ゆっくりお風呂に入ってね~」
「??」

ニコニコ笑っているルイに、ユウは意味が分からず首を傾げる
ルイが魔法を使ったのは分かる
『エア』という言葉から、空気を操ったと思われる…
しかし、ただお風呂に入るだけなのに、魔法を使われる意味が分からない

「ふふふ♪今の魔法で、水の中でも息が出来るようになったわよ~」
「へぇ~、そうなんだ…
でも、僕…お風呂に潜って遊ぶような年齢じゃないんだけどなぁ…」
「まぁ、良いから良いから♪」

独り言のように呟くユウの背中を押すルイ
ルイのおかげで、お風呂場を探さなくても、お風呂場の前に到着した
ニコニコ笑顔のルイに見送られ、ユウはよく分からないまま、お風呂場へ入っていく