-翌日-

「ん~~…朝?」

目を覚ましたユウは布団の中に頭まで潜り込んでいた…しかし、それはいつもの事
いつもと違うのは、いつも鳴っているはずの目覚ましが鳴っていない事
ユウにしては珍しく目覚ましより早く起きたらしい

「ん~~~」

布団の中で伸びをしゴソゴソ動きながら、手を伸ばして目覚まし時計を手探りで探す
枕付近に小物が置ける場所があり、そこに目覚まし時計がおいてある
慣れた手つきで探るが…

ペシペシ

「??あれ…目覚ましは??」

身体を起こせば、もちろんユウの視界を覆っていた布団はずり落ち視界が開ける

「…え…っと…ココって…誰の部屋?」

ユウは見知らぬ部屋にいた
天井もベッドも床もカーテンも…全く知らないもの

「え?僕知らない間に不法侵入!?!それとも、誘拐!?監禁!?!」

自分に起きた事が分からず、頭はいとも簡単に混乱した
ベッドから飛び降り、パジャマを確認…
昨日、自分が着たパジャマに間違い無く、少しホッとする
ホッとすると、これは夢なんじゃないか…という考えが浮上してきた

「夢だったら、頬抓ったらいいよね!」

ギュッと頬を抓る…

「いったぁぁぁぁぁ~~~」

ユウは頬を手でおさえながら座り込む
痛みのあまり涙目になっている

「…痛いってことは、夢じゃないってこと!!?」

ガーンっとショックを受けるユウ
夢じゃないと分かれば、頭の中は再び混乱状態に陥った

(誘拐…監禁だったら最悪だ…不法侵入なら…謝れば許してもらえるだろうけど…)

少し落ち着いた頭でそんな事を考えながら、ソロリとドアに近づく
そして、出来るだけ音を立てないように、ゆっくりドアを開ける

(誘拐だったら、見つかったらヤバいもんね…)

最小限の隙間を作り、スルリと部屋から抜け出し周りを見回し、誰もいない事を確認して一息
視線を足元にやれば、少し茶色が濃い木で出来た床が目に入る

「あら、ユウ目が覚めたのね」
「ッ!?!!?」

急に声をかけられ、ユウは声が出ないほど驚いた
勢いよく声のした方を見ると、そこにはユウのよく知る女性が立っていた

「お…お母さん…?」
「そうよ?当たり前じゃない
それより、早く準備しなさい…転入初日から遅刻は駄目よ」
「え…あ…うん…」

予想外の出来事すぎて、ユウはただ言われた事に頷くしか出来なかった
母親はそれだけ言うと、ユウの部屋だと思われる部屋のすぐ横に設置してある階段から下に降りて行った