車に入って、あたしはCDをかけた。


「なぁ、さっきまた樹に話しかけてたのか?」


お兄ちゃんはさっきの穏やかな顔とうって変わって、真剣な顔だった。


「別に…」


あたしは前に向き直した。


「そっか…まぁ、高校楽しんでこいよ」


お兄ちゃんはそう言ってあたしの頭をポンポンと叩いた。


なんとなくお兄ちゃんの言いたい事はわかっている。


だけどお兄ちゃんもあたしもはっきりとは言わない…