そこは、周りが海で囲まれている墓地だ。


あたしはひとつのお墓の前にしゃがむ。


花束を置いて手を合わせる。


このお墓は樹が眠っている…。


「樹の命日じゃないけど来ちゃった…」


あたしは呟く。


お墓にコスモスって合わないかもだけど、


コスモスは樹が一番好きだった花だったから。


あたしは少しの間、ずっと樹のそばにいた。


あの頃の事を少し思い出していた。