え、誰?
あたしが不思議そうに彼を見るとウインクをした。
「なーんだー!彼氏!彼女を放ったらかしにすんじゃねえぞー」
上機嫌に男たちは去っていった。
「はーい!お気をつけてー」
彼はニコニコして手を振った。
「あ、あの…」
お礼を言おうとして話しかけると
彼はあたしを見て
「こんな夜に女ひとりでこんなとこ歩いちゃだめじゃん」
ちょっと強い口調で言った。
「あ、道に迷っちゃって…」
「どっか遠くから来たの?」
「あ、はい。兄の家に行きたいんですけどわからなくて…」
「なんか住所とかわかる?」
あたしはバックから手紙を出して渡した。
もしかしたらこの人も危ない人かもしれない。
けど、なぜか彼の顔は優しげで
助けてくれたこともあるのか
怖くはなかった。
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