全くの他人同士だった人間達が出逢い、夫婦になる。
知っている人が誰一人いなかったこの町で、ぼく達はあの日、あの老夫婦から確かに何かを受け取った。そしてたった今、これからを生きる若い夫婦にその何かを受け渡した。そんな気持ちがぼく達の中にある。

「こうやって繋がっていくのね。人と人の絆って不思議ね。
私はね、出逢いっていうのは運命だと思うの。自分ではどうにもできないような力が働いているって。でもその出逢うことができた人たちとどんな絆を作っていくのかは、私たち次第ね。」
「そうだね。強い絆は、両方の気持ちがなければ作れないものだね。
『恋心は三年でなくなる』、なんてよく言うけれど、無くなってしまうのは、運命で出逢ったことで予期せず生まれた感情、一時的な強い衝撃、衝動的な気持ちなんじゃないのかな。
瞬発的な強いエネルギーを、長く続く形にしていくのは、何かにまかせきりではできないことなんだ。形が変わることを恐れて、受け入れることができなくて、別れてしまう人たちもいるよね。」