車から降りた一平は
助手席側のドアを開ける。

「…いやだ」


小さな抵抗。
そんなもの簡単に崩される事を
知ってたけど

付いて行ったら最後。


もう…戻れない。



「雫」


…………なんでそんなに
優しく…呼ぶ…の?

我慢してた気持ちが
溢れだして
涙がポロポロ止まらない。


そっと一平の手が頬に触れて
私の涙を拭う…。


頭の後ろに手が回り
一平の胸に引き付けられた。


何も言わずに
ただ私の頭を抱き締めてる…。