紫苑がそんなあたしの気持ちを知ってか知らずかクスッと笑って顔を上げた。


紫苑「あげは……エロい。」

あげは「ぬぁ…っ!!」


あまりの衝撃発言に変な声が出てしまった。


な…んだよー!それ!!




紫苑「あーあ…こんな可愛い子俺のモンにしたかったなー…。」


紫苑は誰にともなく上を向いて呟いた。


上には真っ白な天井しか無いのに一点を見つめる横顔は綺麗で、とても脆く感じてあたしが泣きそうになった。




でも、その言い方って…

あげは「あたしは誰のものでもないよ?」


そう言うと頭を片手で押さえて考える人ポーズを取りつつ首を振る紫苑。


紫苑「『あたしはあたしのモノ』とか言うんだろ…?」


あげは「違うよ…っ!彼氏なんか居ないよ!」

好きな人なら居るけど。




・・・・・・・・。


何この沈黙。




紫苑「まじ…?」


顔を上げた紫苑は少し潤んだ瞳で満面の笑みだった。


少しほんの少し心がチクッとした。


ここで『貴方だよ。』って言えたらどんなにスッキリするだろうか。


言えないけど、言う資格もないけど。