兎ちゃん…土足で踏んだりしてごめんね…って心の中で謝りながらなぜかラメ入りの『1』ってボタンを押す。


それから意味なく『閉』のボタンを連打する。

なんか待ってんのいらつくんだよね。




__ウィーン


心地好い音を響かせながら銀色の箱は下へ降りていく。




あげは「ゎわっ…!!」


グラグラッと足元が揺れた。

地震…?


揺れはすぐに収まったものの箱は動き出そうとしない。


嘘だろ…?




通常のエレベーターなら付いてるはずの非常ボタンを慌てて探す。

ぁっ…た……?


あったはあったもののそこには『只今故障中』の文字。

嘘つけ。

非常ボタンが非常時だったらどーしよーもねぇじゃねぇかよ!!




怒りに任せて目の前のピッカピカに磨かれた壁を本気で蹴る。


__ガシャッ


一瞬グラッと揺れた。

お…?動き出すか…?

期待しながら待つと聞こえて来たのはあの心地好い音…



ではなく何とも不快な音だった。