どれくらい経ったのだろう…。
あたしは泣いたりなんかしていない。
そりゃ少しは嗚咽が漏れたのは認める。
でもあたしはきっと強くなったから泣いていない。
大好きだった彼には恋していなかった。ただの思い込み。
これほど悲しいことは無い。
半ば放心気味のまま、夕方のニュースが映るテレビ画面を見つめていた。
あげは「もぅ夕方かー…。」
ため息混じりに吐き出した言葉は、貼り付けた笑顔と無機質な声のアナウンサーに掻き消された。
「それでは次のニュースです。
●●水族館のアイドル、アシカのあーちゃんが新技を覚えました。
その愛らしい容姿から大人から子供まで大人気の……」