だけどねそれは〝恋〟じゃなかった。
あたしが勝手に恋と錯覚していただけ。
その証拠にキスをされてもドキドキなんかしなくて、ただ涙が溢れるばかりだった。
その涙の名前をあたしはずっと前から知っていた。
〝罪悪感〟
あたしはただ騎士に依存してただけだった。
紫苑と似ている彼に重ね合わせて
彼の広い心に悲しみをぶつけた。
騎士で、
騎士を利用して、
あたしは悲しみを消していた。
ごめん、ごめんね…騎士……。
こんなあたしが幸せになんかなっちゃいけないからあの人に対する恋心は隠し通すけど、
騎士はもっと幸せな恋…してね。
ありがとう…
ごめんね…
騎士の長所は優しいところで
騎士の短所は優し過ぎるところだよ。
