あげは「そ…だよ…。」
…その瞬間目の前の切れ長な目から一筋の涙が流れた。
キラキラ光っていた液体はぽたっ…と音を立ててあたしの手の甲に落ちた。
びっくりするくらい冷たい涙だった。
騎士「俺はお前が居ないとダメなんだよ…っ!!」
あげは「…なっ、いと…んっ!」
キ ス さ れ た 。
騎士の唇は氷のように冷たくて一瞬にして心が凍った。
ココロをわしづかみにされた気分になる。
あたしは騎士が好きなんだろうか?…そんな疑問に駆られる。
さっき紫苑が好きだって言ったじゃん。
言ったのは紛れも無い自分のはずなのに頭の中がぐちゃぐちゃになる。
あげは「…んん…っ」
彼があたしの口も頭も全てをぐちゃぐちゃにしていく。
そして心も…。
騎士のテクはきっと誰より上手。
だって人の心を揺らせるんだもの。
恋愛経験の無いあたしでも分かるよ。
だけど、やっと分かったよ。
あたしが騎士に対する想いが…。