莉那の部屋のドアを開ける手すりに手をかけた時、莉那の泣き声が聞こえた


入ろうにも入れず、ずっと部屋の前で立ち尽くしていた


盗み聞きをしようとかそんなんじゃなくて、ただたんに足が動かなかった


どうしても、聞きたくなくても足が動かなかったんだ


ひと息ついてから、あたしは一歩踏み出そうと莉那の部屋に入った


莉那を後ろから抱きしめて、ずっと黙っていた


何を話していいのか分からなかった。なんて声をかければいいのかもわからなかった


ただ、ずっと莉那を抱きしめていた


莉那の頬は真っ赤になっていて、いつも冷めきっているあたしの手を頬に当てた


それがずっと続いて、泣きやんだころには9時を回っていた


「ありがとう咲希、ずっといてくれて」
「なんてことないよ。ほっぺた大丈夫?」
「咲希の手は、どうしてそんな冷たいの?」
「昔から冷え症なの」


莉那が鼻水をすすりながら『そっか』と言った


「布団出すね」
「あたしも手伝うよ」
「ありがとう」


一緒に布団を出して、布団の上に寝っ転がった


莉那は、自分のベットの上に