「やっ!」
「咲希、俺だよ」


顔をあげると、目の前には凪がかがんであたしの顔をのぞいていた


「・・・助けて」
「誰かに追われてるのか?」
「・・・父に追われてる」


凪は、あたしを抱きしめてから周りを見渡していた


「誰もいないけど」


凪の声にハッとした


あたしは凪の胸元をドンッと押して、凪から離れた


「優しくしないで・・・」
「さっきのは誤解なんだ!」
「何が誤解なの?だってあたしの手振りはらったじゃない!」


聞こうとしないあたしに『聞かなくていいから』と言った


でも凪は、話し始めた


「咲希とエッチした日から俺、咲希のことが頭から離れなくてさ恥ずかしかったんだ」


恥ずかしかった、それはあたしを意識してくれてたってこと?


「最近さ、正直言えば受験で忙しくて咲希のこと忘れかけてた。でも、あの時のエッチで目が覚めたよ。やっぱり俺は咲希が好きなんだって」


凪の言葉を聞きながら涙をぼろぼろ流していた


「ごめんね、あたし素直じゃなくてごめんね」


「逃げることしか思いつかなくてごめんね」


あたしの言葉に、凪はなにも言わずにもう一度あたしを包み込んだ


「暖かい」
「冷たいな。氷の国のお姫様みたいだ」