でも、凪のこと好きだったから......大好きだったから


だから、嬉しかったんだ


凪と付き合って、不安や悲しいこともいっぱいあったけど


でも、幸せだった


その辛さが幸せをつないでくれるって信じてた


レイプだって真琴君からの性暴力だって我慢すればいつかは報われるって信じてた


お父さんのことだって、いつかは元通りになってくれるって信じてた


でも、結局あたしが信じた人は絶対に普通の人なんかじゃない


少し狂ってるか、あたしが不幸にしたんだ


ごめんね凪、あたしきずいてあげられなかったね


本当にごめんなさい・・・ごめんなさい


「咲希?やっと会えた」


呼ばれた声ではっとした


この声、この前聞いたばかりだ


昨日・・・聞いたばかりだ


「・・・お父さん」
「咲希に会えた、咲希お金貸してくれないか?祐希からもらってるんだろ?俺に貸してくれよ」


お金なんてない、そう叫んでやりたかった