「莉那がつらいなら、あたしが一緒に行くよ?」
「・・・やだ」


莉那が泣きながらあたしにすがりついてきた


“ヤダ”と“追い出さないで”を繰り返しながら


「追い出さない。一度帰るだけ。ねっ?あたしにもお兄ちゃんと向き合わせて?今すぐにとは言わないから。一度でいいから・・・」


あたしもつらいの、いっぱい悩まなきゃいけないの


桜庭のこと悠一のことお兄ちゃんのことこの家のこと眞子のこと


いっぱい悩みたい。自分が許す限り・・・


「あたしたち、頭冷やしたほうがいいと思う」


一度頭冷やして、また逢おう?


学校では普通だから、学校が終わってからは・・・頭を冷やそう


「・・・分かった。いつにする?」
「あと1週間で4月が終わるから、5月からね!」


最後に笑顔を向けてあたしは莉那より先に、階段を上った