「不審者って…朔夜、どう言うこっちゃ?」
「いやいやいやいや!コイツだよ!お兄ちゃんの部屋にいたんだけど!?」
不審者だろこれ!っとのんびりした父の胸ぐらを揺するが、父が慌てるようことはなかった。
「…ああー!そう言えば朔夜には言ってなかったなぁ…速水君だ。今日からうちに下宿することになったんだよー」
『それでお兄ちゃんの部屋を貸してるわけだ』なんて重大な事実を父はしれっと言ってのけた。そう言うことは家に来る前に言ってよ!馬鹿!
これじゃぁ、兄の部屋に行って勝手に勘違いして騒いだ私に非があるのは明らかじゃないか。
ちらっと背後のイケメンに視線をやると、そいつの『そら見ろ。不審者なわけなかっただろう?』と言うようなドヤ顔を垣間見た。ウゼーッ!!でも何も言えない!
「これから暫く一緒に暮らすんだ。2人共仲良くなっ!」
睨み合う私達の険悪な空気に気づいてないのか、父は何事もなかったようにまた新聞を広げた。