桜庭先輩ってばきょとんとした顔で一番突っ込んでほしくないところにぶち込んできた。
速水はプライド高いし、私のことを嫌っているんだから言うはずない。
なんていう気休めは直ぐに打ち壊された。
「俺の下宿先である草薙さん家の娘」
この野郎ー、すっぱりさっぱり丁寧に全部ばらしやがった。しかもめちゃくちゃ得意げなのがまた気に障るわー。
そうなのか、と桜庭先輩は頷くけど周りの空気は完全に凍り付いている。
冷ややかな眼差しを送る私に速水はウザイほど爽やかな笑みを浮かべた。
「俺は今から桜庭と街に行くので帰りが遅くなる、と草薙さんに伝えておけ」
「………」
用件を伝えると速水は満足したように歩き出した。後から桜庭先輩も軽く会釈して速水の後を追った。
私も続いて女子達の輪から抜けようと思ったのだが、ちょうど桜庭先輩が抜けた後に綺麗にまた道が塞がれた。なんて無駄に洗練されたチームワークだろう。
それから酷い目にあったのは言うまでもない。
速水についてわかったこと。
アイツは空気が読めない。KYだ。
今日、私の平穏な学園生活の夢が儚く散った。