靴を履いて昇降口を出ると女子の黄色い悲鳴が嫌でも耳に届く。それによって私の気分は落ち込んで行く一方だ。

あー…帰りたい。


「ほらほら、行くわよー!」


やる気いっぱいの加代子は群がる女子達を力強く押しのけてグイグイ進んで行く。私の手をがっちりと握り締めてるもんだから逃げられず、必然的に私は女子の群れに揉まれる。

痛っ!誰かの肘が思いっきり顎を打ったぞ!くそ!

そんな私を気遣う気もないらしい加代子の足が漸く止まった。
どうやらひとまず先に人垣を抜けたらしいが、私はまだ抜けられてない!今止まられたら困るわけだ。


「止まるな加代子!」


ドンッ!


「きゃっ!」


「おっと」


ついつい勢いよく加代子を突き飛ばしてしまったが、彼女が地面にダイブする事はなかった。


「君、大丈夫?」


「あ、はい。すいません会長!」


何故なら我が高校の生徒会長こと、桜庭先輩がしっかりと抱きとめたからだ。まっ、私は転んだがな!

と言うか何で桜庭先輩がここにいるのだ…速水は?






「貴様…何をしてる?」


「………」


桜庭先輩の背後からにゅっと出て来た速水が呆れたように私を見る。桜庭先輩の後ろにいたものだから、気づかなかったが…やっぱいたのか。
いないんじゃないかっとちょっと期待したのに。