ぽっかりと空いた右目に、目玉がないと不安なような気がしたが、しかしこれをそのまま戻してしまうのもなんだか勿体ないような気がして、僕は右目を結局元に戻そうとはしなかった。

見えるのであれば問題はないだろう、と思う。


色々なところに目玉を置いて、僕は視界がころころ変わる様を楽しむ。

机の上、箪笥の上、ベッドの下。

ちょっとした小人気分だ。

自分の旋毛を自分で見ることができる人間など、世界中探しても僕くらいなものだろう。