彼女が僕を口元へと運ぶ。

口付けをし、軽く一舐めした後、大きく口を開いた。

僕はころんと転がり、彼女の口内へと入る。

舌の上で僕は転がされ、嘗め回される。

甘噛みされる。

真っ暗な口内で、僕はただ、彼女にされるがままにされていた。


一体どれほどの長さ、僕は口の中にいたのだろう。

時間の感覚がなくなっていた。

右目の疼きは、いつの間にか麻痺して感じられなくなっていた。

彼女の舌の動きが、何かに躊躇うように、停まっていた。



いいよ、と僕は呟く。



その声が聞こえたわけではないだろうが、彼女が唾を飲み込んだことが分かった。

そして、僕はごくん、と飲み込まれた。