その日、彼女の日常に変化があった。

男子から手紙をもらった。

いつも彼女の側にいる男子だった。

彼が彼女に好意を寄せていたのは、よく分かっていた。


放課後、僕は彼女に連れられ体育館の裏にやってくる。

そこには、あの男子が待っていた。

改めて見ると、とても爽やかな好青年だった。

一度も染めたことがないであろう、しかし手入れを怠っていない、短く切り揃えられた髪と、日に焼けた肌の色から、恐らく活発な人なのだな、とぼんやり感想を抱く。

僕とは、正反対の。

光の下で笑っていられる人。

きっと女子生徒の人気も高いだろう。


彼女がやってきたのを確認して、男子が躊躇いがちに、口を開く。

彼女はなんと答えているのか、分からない。



そこで僕は右目を閉じた。

これ以上、見たくなかった。