しかし、僕の右目を見つけたその人は、ひょいと僕の右目を掴み上げ、顔の前に持ってきてしげしげと観察し始めた。

高校生くらいの少女だった。

ああ、準常連だ。

この公園を通学路としてたまに使用していた。

いつも通り過ぎるのを眺めるだけだったので、顔をこうして観察するのは初めてだ。

いや、観察されているのは僕の方か。

女の子の顔を、こんな真正面から、それもこんな近くで見つめたことなんて、今までなかった為にどきどきしてしまう。

視線を逸らそうにも、僕の目玉は今筋肉で覆われていないので、動かすことができない。

ただただ、少女と見つめ合うことしかできない。