買ったばかりの長靴を
汚して走る小さな影


過ぎゆく季節への鎮魂歌
雨音に紛れて聞こえるの


露を弾く葉の苦さや
かたつむりの通り道を
大人は忘れてしまうから


人々が咲かせた傘の
紫陽花色の間に
幸せそうな二人を見たよ


さようなら


使い古した長靴を
残して消えた小さな影


悲しみと喜びにまみれた
静かなる世界で


今、幼き口づけを