「取れた!」


酸素マスクを外して


「よいしょっと」


今度は立ち上がる


「涼真君、背、伸びたね
久しぶりに立ち上がったけど、やっぱ敵わない」


額には汗が見える


もう限界だろ………


「じゃあ撮ろーか
1、2、3ハイ」


カシャ


「涼真君笑顔だよー
笑わなきゃダメ!」


「あぁ……ごめん」


「いくよー
1、2、3ハイ」


カシャ


俺は出来るだけ笑顔を
作ったつもりだけど


まゆには勝てないな


「撮れた!涼真君に送るね、」


「もう寝てろ」


「大丈夫だよ」


「大丈夫じゃねぇだろ!」


俺はまゆの肩を掴んで
真剣な眼差しでまゆに
言った


「まゆは俺の宝物なんだ
大切にしたいんだよ
……最後まで」


ちょっと照れ臭かったけど


まゆが大事なんだ




まゆは髪の毛を整える


そして何も言わずに酸素マスクを付けて

仰向けになる


俺はまゆの汗を拭き取り
うちわで扇いであげる