光は他人事のように言い放つ。


「――仮に私が女だったら何です? 女は家事と洗濯しか能が無いとでもいいますか?……私は自分に素直でいるだけだ」


「だが……女子が刀を持つなど――」


「ではなぜ男は刀を持つのでしょうか」


敵意とも取れる、険のある光の口調に、斎藤は思わず口を噤んでしまった。


斎藤にとって男が外で働き、女が家で家事をする事は、生きていく中で当たり前の事実だった。


刀を持ち、浪士を斬り捨てる女など――当たり前の事だが――今までに見たことが無い。


それを目の前の女は、見事に体現してのけたのだから、斎藤には大きな驚きだった。


「女は力が弱いから戦えない。それは認めますが、私は違いますよ」