「本日より入隊した井岡光君だ。彼には監察方兼副長助勤をしてもらう。みんな、仲良くしてやってくれ!」
大きな通る近藤の声が、広間の隅にまで響き渡った。それを感じた光は、隊士の注目を集めながら一歩前に踏み出し、軽く頭を下げる。
「井岡光です。よろしくお願い致します」
丁寧だが、媚びへつらうような印象は与えない気品のある礼をする光に、土方はやはりどこかの子息ではないか、と感じた。
「……こいつには巡察を手伝ってもらう時があるだろう。よく顔と名前を覚えておけ」
そう言った土方は、光に戻っていいと言う。言われるがまま光が席に戻ると、座っていた山崎が小さく微笑みを浮かべ、迎えてくれた。
「では、頂きます」
野太い掛け声と、食器がカチャカチャと鳴る音が広間に響き渡った。稽古や宴会のような騒がしさは全くあらず、隊士たちは無言で食べ続ける。
昼餉を食べ進める光は、人知れず笑みを漏らした。質素で淡白な味付けだが、それを入れても美味しさに文句の付けようが無かったためだった。
十分に昼餉を堪能していると、早くも食べ終わった隊士が、我先にと光の周りに集まってくる。
あまりの押し掛けように、まだ食べ終わっていない隣の山崎が、僅かにだがその顔を歪めているのが見えた。
大きな通る近藤の声が、広間の隅にまで響き渡った。それを感じた光は、隊士の注目を集めながら一歩前に踏み出し、軽く頭を下げる。
「井岡光です。よろしくお願い致します」
丁寧だが、媚びへつらうような印象は与えない気品のある礼をする光に、土方はやはりどこかの子息ではないか、と感じた。
「……こいつには巡察を手伝ってもらう時があるだろう。よく顔と名前を覚えておけ」
そう言った土方は、光に戻っていいと言う。言われるがまま光が席に戻ると、座っていた山崎が小さく微笑みを浮かべ、迎えてくれた。
「では、頂きます」
野太い掛け声と、食器がカチャカチャと鳴る音が広間に響き渡った。稽古や宴会のような騒がしさは全くあらず、隊士たちは無言で食べ続ける。
昼餉を食べ進める光は、人知れず笑みを漏らした。質素で淡白な味付けだが、それを入れても美味しさに文句の付けようが無かったためだった。
十分に昼餉を堪能していると、早くも食べ終わった隊士が、我先にと光の周りに集まってくる。
あまりの押し掛けように、まだ食べ終わっていない隣の山崎が、僅かにだがその顔を歪めているのが見えた。