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それからしばらくした後、中庭まで探しに来た沖田に連れられ、山崎と光は隊士が昼餉をとる広間にやって来た。


「ああ……言い忘れてましたが、井岡さんは山崎さんと相部屋だそうですよ」


「分かりました」


静かに言う稽古中の沖田とは、また違う面を見せている。小さく頷いて了承の意を示す山崎も、公私を弁えているのか、口調が改まっていた。


気安く話せる仲ではないのか、道中の会話は事務的なもののみであり、息が詰まってしまうような雰囲気がある。


その間、口を挟むことが出来なかった光は、ただ口を閉ざして黙っていた。


「井岡さん、ここが広間です」


先を歩く沖田が戸を引くと、すでに多くの隊士が席についていて、昼餉の始まる時間を待っているのが見えた。


沖田は、仕事は終わったとばかりに、気にせず席に座ってしまった。光と山崎は監察のため、組長が座る反対側に座る。


しばらく時間が経つと、原田と永倉たち組長ら、局長である近藤や副長の土方、他にもまた隊士がやってきて、全員が席についた。


「井岡くん、井岡くん」と、近藤が手招きをしているので、素直に従って立ち上がり、彼の側まで寄る。