「言葉遣いもえらい変わったなぁ……。泣き虫でずっと笑てたのに」


「二年前から……私は侍だ」


揺るがない強い意志を感じ取った山崎。悲しみを瞳にたたえながら、開きかけた口をグッと閉ざした。


光の表情を推し量ろうとするが、彼女の瞳に映るのは、悲しみでもなく、怒りでもない。どのような色でも無かった。


「二年前言うたら……俺が道場を出た時やな。何があったん?」


光は山崎の問いを聞くと、無意識のうちに口元が自虐的な微笑みを浮かべていた。


「……先生が浪士に殺された」


「――……嘘や!」


光の口から衝撃的な言葉が発せられた。


山崎にとっては、生きてきた中で最も大きな衝撃だと言っても過言ではない。頭を殴られたような衝撃が襲い、口の中が徐々に乾いていく。


「……あり得へん……なんや、それ。
あの人が……殺された、やて?」