そこでふと、土方は近藤と沖田が、すでに先程の驚きから立ち直っていることに気付いた。


「……山崎さんって井岡さんと仲が良いみたいですね。心配して怒鳴ったみたいですし……」


「普段怒らない山崎君が怒ると、更に怖いな……」


どうやら、山崎の珍しい怒鳴り声が効いたらしく、ニ人とも苦笑いを浮かべていた。かくいう土方も、山崎の新たな一面を垣間見た気がして、驚いた一人だ。


「まあ、歳。山崎君の知り合いだったら、間者ではないね。監察方と副長助勤を任せても大丈夫そうだ」


「――そうだな。井岡の部屋だが、山崎と相部屋にしないか? 他の隊士だと、万が一……って事もある」


鋭い光を目に宿し、油断なく言う。


土方は、光を完全には信用していなかった。少なくとも、敵ではないにしろ、何かを隠している事は確かだろう。


仲間の出身や身分を探るのは、壬生浪士組の方針に反する。しかし、沖田に勝つ者が敵から送り込まれた刺客なら、ここは日の目を見ることなく壊滅してしまう……。


そのため、危険を考慮して言ったのだ。


「じゃあ、僕と相部屋にしてください!」


その時、名乗りを上げたのは、期待に目を輝かせ、満面の笑みを浮かべた沖田であった。