「少しでも怪しい動きをしてみろ……すぐに斬るからな。忘れるんじゃねえぞ、裏切りは許さない」
最後にしっかりと忠告をして、相好を崩す土方。微かだが魅力的な笑みは、さぞかし色街では騒がれるのだろう――。
光は密かに邪推した。
「……歳も井岡くんを認めたみたいだな。よし! 壬生浪士組入隊を許可する。今日を以って井岡くんはここの隊士だ!」
嬉しそうな声音でそう言うのは近藤である。それを聞いた光は、にっこりと笑みを浮かべ、頭を下げた。
「ありがとうございます。稽古や巡察に励みたいと思います」
「ああ、宜しく頼むよ」
近藤の懐は広く暖かい。知り合って間もない人間を躊躇なく組織に迎え入れるのだから。
疑わない近藤。疑う土方。そうやって壬生浪士組の調和を保っているのだろう。そう考えれば、疑われた不快感も薄れるというものだ。
「――近藤さん」
「何だ、総司」
声を上げたのはそれまで何も発する事がなかった沖田だった。わがままを言い、強請(ねだ)るような口調で近藤に話しかける。
「井岡さんを一番隊に入れてくれませんか」
最後にしっかりと忠告をして、相好を崩す土方。微かだが魅力的な笑みは、さぞかし色街では騒がれるのだろう――。
光は密かに邪推した。
「……歳も井岡くんを認めたみたいだな。よし! 壬生浪士組入隊を許可する。今日を以って井岡くんはここの隊士だ!」
嬉しそうな声音でそう言うのは近藤である。それを聞いた光は、にっこりと笑みを浮かべ、頭を下げた。
「ありがとうございます。稽古や巡察に励みたいと思います」
「ああ、宜しく頼むよ」
近藤の懐は広く暖かい。知り合って間もない人間を躊躇なく組織に迎え入れるのだから。
疑わない近藤。疑う土方。そうやって壬生浪士組の調和を保っているのだろう。そう考えれば、疑われた不快感も薄れるというものだ。
「――近藤さん」
「何だ、総司」
声を上げたのはそれまで何も発する事がなかった沖田だった。わがままを言い、強請(ねだ)るような口調で近藤に話しかける。
「井岡さんを一番隊に入れてくれませんか」