気配には気づかない振りをして、光は水が滔々(とうとう)と流れるように話を始めた。


「――私の家は道場なのです。決して有名ではない流派でしたが、常に“生き残る”ことを念頭に置いた……型だけではない、殺しに重きを置いた技です。それに数々の流派の奥義と忍の技が足され……無敵の流派だと自負しております――」


多少の脚色はあるが、光の流派が無敵であるという自負に、嘘偽りは欠片もない。


すらすらと自らを語る光をみて、土方の眉間の皺が薄れたような気がした。


「その無敵の流派のてめえが……どんな理由で何故ここに入ろうと思った?」


「――生きる為です」


未だに疑う土方に、光は確かな意志を視線に乗せ、素直な胸の内を語る。


――生きるんだ。何があろうとも――


「生きる為には力がいります。この時世で生き残る為には、高尚な思想ではありません。綺麗事は早死にのみ。私は生きる為の力が欲しい」


「……なるほどな」


自身、思うところがあったのだろう。土方は軽く頷いて光の言葉に賛同を示した。


反対していた土方がそう言った事により、近藤と沖田はホッとした表情になる。