近藤に進められるがままに座り、正面から彼の真っ直ぐな視線を受け止める。


近藤の隣からは鋭い視線、自分の隣からは状況を楽しんでいる視線を感じた。それぞれ、土方と沖田である。


「――はじめまして。私は近藤勇という者で、ここの局長をしている。君の事は先程歳から聞いたよ」


「井岡光と申します、近藤殿」


頭を深々と下げる光を見た近藤は、穏やかに笑うと、しかめっ面を続ける隣の土方をからかうように言った。


「はは……ほらみろ、歳。井岡くんは礼儀正しくて、とてもいい子じゃないか」


「チッ……俺は副長の土方歳三だ」


一体、何が気に入らないのだろうか。顔を歪めてわざと聞こえるような舌打ちをする土方。


そんな土方が光を敵対視しているのは、火をみるより明らかな事だった。


あまり刺激しないほうが良いと判断した光は、土方に軽く、しかしながら丁寧に頭を下げるだけに留めた。