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それからしばらく、先導する沖田に続いて屯所内を歩くと、一つの障子の前で沖田が足を止めた。
どうやらここが、土方が話していた件(くだん)の局長の部屋のようだ。沖田はいつものように緊張感が感じられない声を掛ける。
「近藤さーん、沖田です」
「おお、総司か。入ってくれ」
室内からは、低くて渋い、それでいて優しい声音の声が聞こえてきた。その声が土方とは思えないため、近藤に違いない。
「失礼致します」
光は軽く詫びを入れ、沖田に続いて入る。
そこには文台の前に座り、こちらを見つめている、大柄で人の良さそうな笑みを浮かべている侍がいた。
彼の横には、不機嫌さが顕著に現れている男。隠そうともせずに胡乱げな視線で光を見やる。
前者が、壬生浪士組局長、近藤勇。後者が壬生浪士組副長、土方歳三だろう。