光の性別を知っている者同士、今更隠す必要も無いだろう。そう思った光は迷いなく頷いた。


二人――いや、芹沢と斎藤を含めた四人は、そう簡単に誰かへと口走るとは思えない。今まで他の人間に知れていないのが何よりの証拠だ。


「……しっかりしているように見えて、実は抜けてるのか、お前?……知れたら他人に迷惑が掛かることを自覚していないだろう」

「してるよ!」


拗ねたように顔を背ける光を見て、梅は思わず声を上げて笑ってしまった。


いつも、若者――しかも女とは思えない程の雰囲気を身にまとっている光。梅は、年齢に相応しい顔を見せる今の光に、心がじんわりと暖かくなったのだった。


「光ちゃんは、こちらの方の前やったら、ただの可愛い女の子なんやね……」


「……な、何を妙なことを……」


何か言いたげに、口をぱくぱくと開けたり閉じたりしている光は、思わぬ梅の台詞にほんのりと頬を赤らめた。


「そんなことを言われても……、嬉しくなんかありません」


二人の物珍しそうな視線に晒された光は、居心地悪く感じると、衣擦れの音を立てて身じろぎをする。


女扱いをされたのは、遥か昔のことであり、背中がむず痒くなるような気持ちに襲われた。