｢せや。未来にはそこまで詳しく伝わっとるんやな……。ちゅうことは……この暗殺はばれてまうんか？｣


｢さあね｣


さり気なく未来の情報を聞き出そうとしてくる山崎。彼の考えに気付き、教えないほうがいいと感じた光は、笑みを浮かべて躱した。


流石は監察頭、といったところだろうか。違和感を感じさせることなく、情報を簡単に盗み出してしまうその技は、誰にも真似できない。


｢――話しだした私も悪いが……それを聞くのは卑怯じゃないか。まあ……職業柄ってやつだとは思うけど……｣


｢……そうだな。悪かった｣


門に着くと同時に、山崎の口調が一変した。そこには美しい着物を着た梅が立っており、こちらに気付いてにっこりと、綺麗な笑みを浮かべる。


｢こんにちは、お梅さん。ご足労頂きありがとうございます。それで……私に何か御用がありましたか｣


頬だけで微笑む光は瞳に疑念を乗せると、穏やかであるのに少し剣呑さが感じられる声音で問い掛けた。


｢ええ。少し｣
抜けるような彼女の白い顔が上下した。


｢すみませんが……お梅さん。何か用がおありなら今この場で話しては頂けませんか。
――井岡はこの後、仕事ですからね｣