いつも無表情に近い山崎が、気持ち悪いほど満面の笑みを浮かべて笑っていた。笑いで細められた目だというのに、光は冷や汗をかく。


こ、怖い……青筋立ってる……!


山南に助けを求めようとするが、山崎に視界を遮られ、それは叶わないことになった。光もにっこりと、ぎこちない笑みを浮かべる。


引きつったような感覚がする頬や口元がやけに気になった。思わず口調が敬語になり、乾いた声を漏らす。


「……何、ですか……」

        ..........
「……。自分、芹沢筆頭局長のええ人といつの間にか知り合うたん」


少し含みが感じられる口調だった。


山崎が何故そこまで怒っているのかは分からなかったが、梅と知り合っていたのは、まずいことだったのかもしれない。


そんな山崎を見た光は、何を言えば良いかと、しばらく言い淀んでいた。すると、山崎は軽くため息を吐き、右手で頭を抱える。


「……すみません山南さん。失礼します」


「もう行くのかい」


立ち上がった山崎は、光の腕を掴むと、それまで何も言わなかった山南に頭を下げた。名残惜しそうな顔をした山南だったが、すぐに優しい笑みを浮かべる。


「光、行くで」