慇懃無礼にそう言うと、光は土方から顔をふいと逸らした。井上の近くに寄ると、今日の稽古内容を話し始める。


「源さん、前回は竹刀を使った実戦形式でしたので、今回は柔術を中心とした練習を行いませんか?」


「そうだね。皆もそれでいいかい?」


一つ頷いた井上は、練習を止めて集まってきた隊士たちにそう尋ねた。皆が了承したことを確認し、井上は次なる指示を出し始める。


組み手からし始めた六番隊に、それをじっと注視する光。途中に名指しで助言をいれる光は、なかなか様になっていた。


「……すげえな」


感嘆の息を吐く土方に、光は意味がよく分からず、少し首を傾げた。
「何がです?」


「お前の武術に対する知識と実力だ。いっそ恐ろしいくらい徹底的に、な……。師とやらに幼い時から教え込まれたのか?」


「……いえ、刀をとったのは四年前です」


ため息を混じりにそう答えると、珍しくも土方は「はあぁっ?!」とひょうきんな声を上げて叫んだ。


しかし、光が土方の顔を見ることはなく、呆然とする土方を残し、淡々と指導を続けていく。


「……本当に末恐ろしいな……」