「そうですか……ああ、良かった」


ホッと胸を撫で下ろし、ついでに肩の力まで抜いた山南は、光の肩から手を離すと、気が抜けたように「はは」と言う笑いを漏らす。


「土方君からそれを聞いて……いてもたってもいられなくて……。でも本当に良かった。安心しましたよ」


「……ご心配をお掛けしました」


途端に申し訳なく思った光は、悄然として謝る。すると、山南は“仏”のように慈愛に満ちた表情で笑った。


「土方君にはわたしから、無事に戻ってきた、と伝えておきましょう。君は夕餉をとりなさい」


「……わかりました。ありがとうございます」


早く山崎に自分の過ちを認め、少しずつでもこの組を――民を護るという意志を示したいのに。


光はぼんやりと彼を考えていた。


だが、そう言われてみると、腹が空いたような気もする。緊張感などの様々な状況に置かれ、そんなことは、今まで考えが及ばなかったのだ。


「ではまた。光さん」

「はい」