「只今戻りました、土方副長、沖田組長。勝手な行動を取ってしまい、申し訳ありません。如何様な処罰もお受けします」


きっと山崎から光の身勝手な行動の報告が届いているのだろう。とても丁寧な口調でそう言う。


その場で片膝を付き、土方に頭を垂れると、沖田の笑い声と、土方の「おいこら、顔上げやがれ!」という叱咤が響いた。


「すみませんが……出来ません」


そのままの体勢でいると、近くまで歩み寄って来た土方が、光の腕を引っ張り、無理矢理立たせた。


「……いい男が台無しじゃねえか。不細工な面して何言ってやがる。どうした、何で泣いたんだ」


眉に皺を寄せた土方は、指先で光の腫れた目蓋をソッと撫でた。そのまま指を目尻の方に滑らせる。


「何も。何もありません」


誤魔化すような笑みを浮かべ、光は土方からついと視線を外した。


「――言えよ。食えねえお前が泣くほどだ。何もないわけがねえ……山崎と喧嘩でもしたか」


「生半可な気持ちでいた私自身に苛立ちを覚えただけです」


面白くも何ともない筈だが、楽しそうに微笑む光は笑ったまま、さり気なく土方の指を払いのけた。